床屋外科医による抜歯
18世紀の西洋の抜歯は誰が行っていた?
中世のヨーロッパでは、内科医が診断し外科的な手術、瀉血、膿瘍の切開など血が出る処置は外科医や理髪外科医に任せていました。しかし、大衆に対応するのはシャルラタン(大ほら吹き・ペテン師・大道具売り・にせ医者)またはクワックス(いかさま医者)などが馬車で町を巡回し、太鼓を打ち鳴らしトランペットを吹いて人を集め、抜歯をショーのようにして営業していました。楽器の音は、患者が痛みで悲鳴を上げる声を掻き消す目的もあったのです。このようなシャルラタンまたはクワックスの抜歯風景は、西洋の版画に多く残されています。1728年に、フランスの歯科医師・ピエール・フォシャールは、約20年間の歯科の臨床経験をまとめて本(外科歯科医というタイトル)を出版しました。彼は、歯科医療を科学的にまとめたため、“近代歯科医学の父”と呼ばれています。