お歯黒(鉄漿)を塗る女性 歌麿画
江戸時代女性は、みんなお歯黒(鉄漿)を塗っていた?
江戸時代には、公家を除いて武将のお歯黒(鉄漿)は廃れました。一方、江戸時代の庶民の女性は、結婚すると“夫に貞節を尽くす”ため、眉を剃って歯を黒く染めました。お歯黒(鉄漿)を塗る時、液を温めるとくさい臭いがするため、既婚女性は朝、夫が起きる前に塗りました。
女性の旅行時には荷物を身軽にするため、インスタントのお歯黒(鉄漿)の粉を持参しました。幕末から明治初期に来日した外国人は、お歯黒(鉄漿)を塗った既婚女性を見て女性差別と明治政府を批判しました。明治元年と3年に華族を対象にお歯黒(鉄漿)禁止令が出たのですが、伝統的な風習は改まりませんでした。明治6年3月、明治天皇と皇后は、率先して眉剃りとお歯黒(鉄漿)を止められてから、庶民のお歯黒(鉄漿)も徐々に廃れていきました。