だれですか、ぼくをあんなにどなったのは!
「あいたた、いたい。いたいなあ。」
ほつぺを おさえた ぞうさんは こんやも いたみを こらえてた。
しくしく いたむ この むし歯 大きな からだに ズン ズン ひびく。
「あいたた、いたい。いたいなあ。」
ほっぺを おさえた ねずみの 子 こんやも いたみを こらえてた。
しくしく いたむ この むし歯 小さな からだに キリ キリ ひびく。
「うるさいな ひとばん じゆう。 いたけりゃ はいしゃへ
いつたら どうだ! 行けば いたみは すぐ とれる。
へたすりゃ ならぶ歯 ぬかなきゃ ならんぞ。」
大きな ぞうさん 大ごえ だして 小さな ねずみを にらみつけた。
あわてた ねずみは つぎの 日に 歯いしゃへ むけて 大いそぎ。
「あいたた いたい いたいなあ。」
ぞうさん いたみを こらえてた。 こんやも ひとばん くるしみそうだ。
「うるさいね ひとばん じゆう。 いたけりゃ 歯いしゃへ いけば いい。
いかなきゃ なおるに じかんが かかるよ。
だれですか、ぼくを あんなに どなったのは?」
ねずみに いわれた ぞうさんは こそこそ 歯いしゃへ いきました。
よかったね、よかったよねずみ のむし歯は なおったよ。
ぞうの むし歯も なおったよ。
文・いずみ ひろし/絵・かとう みさこ