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FMヨコハマ「Lovely Day」、「ラブリー♡オーラルケア~歯っとする話~」むし歯の治療について

執筆者
神奈川県歯科医師会・横浜市歯科医師会会員 カナリア歯科クリニック 川原 綾夏

FMヨコハマ「Lovely Day」、「ラブリー♡オーラルケア~歯っとする話~」
2024年9月18日(水)10:00-10:15に放送

 

Q今回は、むし歯の治療についてのお話とのことですが、むし歯の進行によっても治療方法は変わりますよね?                                     

A.そうなのです。まず、削る必要がないむし歯もあります。まだ歯に穴が開いていないような初期のむし歯、歯の表面が白くなったような状態のむし歯では、歯垢を溜めないようにして、再石灰化を期待します。この状態でむし歯が進行しなければ歯を削る必要はありません。

 

Qむし歯が初期の段階は、自然に治癒するということですか? 唾液の力ですか?              

A.唾液の成分の中には、カルシウムやリン酸が含まれており、歯の再石灰化作用を担っています。さらに積極的にフッ化物などを活用して再石灰化させることも可能です。歯科医院で再石灰化に有効な薬剤(主にフッ化物)を歯に塗布するのと同時に、歯磨きをきちんとする、セルフケアでもフッ化物も利用するという試みで歯に穴があいてしまう前にむし歯の進行を食い止めることができます。

 

Q歯磨きの他のむし歯予防はありますか?                                        

A.むし歯菌の活動を抑えるには、むし歯菌の栄養となる砂糖の摂取頻度を制限するということも重要になります。頻繁に砂糖を摂る人は、歯垢中のむし菌の活動が盛んになり、酸も多くつくられてしまいます。酸がむし歯菌によって作られても、唾液の成分により酸性を中性に戻そうとしてくれますが、砂糖が次々と入って来て酸が作られれば、唾液の働きが追いつきません。だらだらと甘いものを食べない、また砂糖入りの飲み物にも注意することが、むし歯菌の活動を抑えることとなります。

 

Qむし歯が大きくなった歯を削って、詰め物やかぶせものをつけるという治療についてです。素材については、どんな選択があって、それぞれ、どのような特徴がありますか?                                      

A.むし歯が進行して、歯の表面のエナメル質が割れてしまい大きな穴になってしまった段階では、再石灰化は追いつかず治ることはありません。大きな穴があいてしまったむし歯では、むし歯の部分を削り、その部分にレジンと呼ばれる合成樹脂を詰めます。レジンは歯とほぼ同じ色ですので、特に前歯で審美性が要求される場合や、むし歯の穴が小さいときにはレジンが多く用いられます。口の中で直接レジンを詰めて固まらせることができるので、一般的には一回の治療で終了します。さらに、むし歯が大きくレジンで治せないようなケースでは型取りをして、石膏の模型を作って、金属やその他の素材を歯に接着させます。

 

Qむし歯が、さらに進行した場合の治療はどのようなものですか?          

A.むし歯の範囲が神経まで達してしまった場合や細菌が神経に感染してしまった場合は、神経をとって根の治療が必要となります。神経の治療は根管治療と呼び、神経が入っていた空洞を専用の機材を使って、むし歯の感染を取り除き、その穴に材料を詰めて、再び感染が起こらないようにします。根の治療は、その症例にもよりますが複数の治療回数がかかり、さらに被せ物の治療も必要となるケースが多いです。

 

Qむし歯が進行すれば、するほどに治療の時間や回数がかかるのですね。「むし歯」は、早期発見、早期治療が一番ですね?                      

A.一度、穴が空いてしまったむし歯は、小さな切り傷擦り傷が治るように自分の細胞が治るわけではありません。穴が空いたところにレジンを詰めたり、被せ物をしたりして歯の機能を回復しているのであって、もともとの状態に治っているわけではないのです。人工の材料を入れている以上、材料の劣化もあります。まずは、むし歯を予防して定期検診で、むし歯を早期に見つけてもらうことが大切です。

執筆者情報
カナリア歯科クリニック 川原 綾夏
神奈川県歯科医師会・横浜市歯科医師会会員
カナリア歯科クリニック

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