スポーツ時にぶつかって歯が抜けた!!
- 執筆者
- 神奈川県歯科医師会・相模原市歯科医師会 会員 古川 信也
- 2024/05/02
- 歯とお口の基礎知識
そんなときのために覚えておきたいこと
「中学生の息子が部活で友だちとぶつかって、前歯が1本そっくり抜けてしまいました。
その歯はグラウンドに落ちて土がついてしまったので、歯医者さんに行く前によく洗って乾かそうと思っていますが、いかがでしょうか?」
歯科医院には、小中学生の保護者の方からこんなご相談のお電話をいただくことがあります。
小さいお子さんや小中学校の児童・生徒さんは、歯を何かにぶつけたりスポーツ中にアクシデントに遭ったりして歯が抜けてしまうことがあります。
そんなときでも、あわてず適切に対処すれば、もとの位置に歯を戻すことができる可能性が高いのです。
今回は、保護者や教員の皆さんに、こうした事態に備えてぜひとも知っておいていただきたいことをお話しします。
抜けた歯を保存液か冷たいミルクにつけて歯科医院へ
ぶつけた衝撃で歯が抜けることを「脱臼(だっきゅう)」といいます。
脱臼した歯がもとに戻る、つまり「再植(さいしょく)」できるかどうかは、歯の根っこをとりまくように存在している歯根膜という組織をできるだけ傷つけないことがカギになります。
歯に付着した汚れを取りたいお気持ちはお察ししますが、そのことによって歯根膜を傷つけてしまう恐れがあります。
このため、抜けた歯をそのまま学校の保健室に常備されている専用の保存液につけ、すぐに歯科医院に持ち込んでいただくことがたいせつです。
保存液がない場合は、急いで近くのコンビニエンスストアで冷たいミルクを買い、脱臼した歯をつけてください。ミルクは冷たいほうがいいです。
よく、脱臼した歯をそのまま口の中に入れればいいという話もありますが、口腔内は細菌が多いため、どうしても保存液やミルクが手に入らない場合以外はなるべく避けたほうがいいですね。
脱臼した歯を乾かしたら絶対ダメです。また水道水で洗ってしまうのも絶対ダメです。歯そのものが変質してしまいます。
保存状態がよい状態で脱臼した歯を歯科医院に持ち込み、短時間で処置ができれば再植できる可能性は十分にあるのです。
保護者や教員の皆さんは、お子さんのイザというときのために、ぜひ覚えておいてください。
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古川 信也神奈川県歯科医師会・相模原市歯科医師会 会員
ふるかわ歯科クリニック