お子さんの仕上げみがきのコツ
乳歯が生えてきたら始めましょう
- 2022/08/31
- 歯とお口の基礎知識
小さいお子さんをおもちの保護者の方々から、よく質問を受けるのは「子どもの歯みがきをいつ、どのように始めたらよいか」ということです。
ここでは、保護者が行う「仕上げみがき」について、お話ししましょう。
仕上げみがきが大切な理由
お子さんに乳歯が生えてきたら歯みがき習慣のスタートです。
お子さんには乳幼児用の「マイ歯ブラシ」をもたせ、保護者が示したお手本をまねして歯みがきをするよう教えてあげましょう。
保護者が行う仕上げみがきには、このようにお子さん自身が歯みがきしたあと、みがき残しをきれいにしてあげるという意味があります。
それだけでなく、お子さんに歯みがきを習慣づけるうえでも重要ですし、親子のスキンシップをとる貴重な機会でもあります。
いつ始め、いつまで続けるの?
乳歯が生えてきたら、お子さんご自身の歯みがきと保護者の皆さんの仕上げみがきを始めましょう。
お子さんが正しい歯みがき習慣を身につけるための「はじめの一歩」は、歯ブラシに慣れること。奥歯が生えてくる1歳半頃までには、歯みがき習慣が身につくことを目指しましょう。
では、何歳頃まで仕上げみがきを続けるのがよいでしょうか。
お子さんの歯は、6歳から12歳ごろにかけて乳歯から永久歯へと生えかわります。生えたての永久歯はまだ柔らかく、虫歯になりやすい傾向があります。
このため、少なくとも6歳頃に生えてくる奥歯(6歳臼歯(きゅうし)または第一大臼歯(だいきゅうし))が生えそろう小学校中学年くらいまでは、仕上げみがきを行うようすすめられています。
お子さんによっては、小学校高学年になっても乳歯から永久歯への生えかわりが続くことがあります。
この時期、歯みがきへの集中力が続かず、しっかりみがき終わる前にやめてしまうお子さんも少なくありません。仕上げみがきは、こうしたお子さんのみがき残しをきれいにしてむし歯を予防するため、とても大切な心がけです。
仕上げみがきは姿勢が大事
仕上げみがきを上手に行うためには、お子さんと保護者が正しい姿勢をとることが大切です。
お子さんの正面から仕上げみがきをするのは難しいだけでなく、危険でもあります。
お子さんが小さいうちは、保護者のひざの上に寝かせて仕上げみがきをしましょう(図)。少し大きくなったら、立たったお子さんの背後にまわり、頭をお腹や脇で固定するようにしてみがいてあげるのがおすすめです。
図 小さいお子さんの仕上げみがきは姿勢が大切
歯ブラシは軽い力で小刻みに動かし、1本1本ていねいにみがいていきましょう。
歯ブラシを強く動かすと、歯肉を傷つけたり、みがく効率が悪くなったりします。また、お子さんが痛がって、歯みがきや仕上げみがきを嫌がる原因にもなりかねません。
お子さんが歯みがきに慣れ、嫌がらなくなるようにするためには、保護者が日頃から子どもの口元を触るようにするのもよいでしょう。
お子さんが口元を触られることに慣れていると、仕上げみがきを嫌がりにくくなります。
また、仕上げみがきをしている間はお子さんが飽きないよう声をかけながら、短時間で手早くていねいに行いましょう。
歯みがき、仕上げみがきが終わったら、上手に歯みがきできたこと、仕上げみがきをしている最中におとなしくしていたことをほめてあげることも大切です。
歯医者さんからのメッセージ
お子さんをむし歯や歯周病から守り、一生自分の歯で食べるためには、乳歯が生えてきたときから正しい歯みがき習慣を身につけることが大切です。
お子さんは、大きくなるにつれ保護者の仕上げみがきを「面倒くさい」「恥ずかしい」などと思い始め、嫌がるようになっていきます。
仕上げみがきは、お子さんの成長とともにだんだんと減っていく親子のスキンシップをとるための貴重な時間でもあります。ぜひ続けていただきたいと思います。
神奈川県歯科医師会・茅ヶ崎歯科医師会会員
八木歯科医院 八木英一