マウスピース型の矯正装置はどのドクターが治療しても同じ結果になる?
- 執筆者
- 神奈川県歯科医師会・海老名市歯科医師会会員 石渡靖夫 高橋一誠
- 2024/07/26
- 歯とお口の基礎知識
この記事の目次
マウスピース型の矯正装置はどのドクターが治療しても同じ結果になる?
マウスピース型矯正装置は、口腔内スキャナーにより歯型のデータを取得し、そのデータを用いてコンピューターが最終的なかみ合わせを作成し、数十枚の矯正装置が作成されて送られてきます。患者さんは通常2週間ごとにマウスピースを取り替え、歯を動かす治療を行います。コンピューターが治療方針を作成しているように見えるため、どのドクターが担当しても同じ治療結果になると思われがちですが、実際にはドクターの知識や技量により大きく異なります。治療方針を決定するのはドクターであり、経験豊富なドクターは何度も指示を出し、プランを修正し、細部まで動きをチェックしてから治療に入ります。治療中に歯が予測通りに動かない場合もあり、その対処方法はドクターの技量に依存します。補助的な装置やゴムを使用して動きを修正することがあります。
マウスピース型の矯正装置で歯の抜歯が必要な矯正治療ができるの?
最近では抜歯を必要とする患者さんでも、マウスピース型の矯正治療が可能となっています。ただし、通常のワイヤー矯正よりも時間がかかることが多く、治療の負担が大きいことがあります。マウスピース型の矯正治療はアメリカで抜歯を伴わない治療から始まりました。白人は東洋人に比べて抜歯が必要な難しい治療が少ない傾向があります。しかし、抜歯が必要なケースではビックデータが不足しており、コンピューターが作成した治療方針をドクターが何度も修正する必要があります。特に下顎の第二小臼歯の抜歯を必要とする症例は難易度が高く、通常のワイヤー矯正と同程度に治療することは困難です。以上の理由から抜歯が必要な患者さんは矯正専門医での治療を検討することが安全です。
ワイヤー矯正とマウスピース型の矯正装置を併用することもありますか?
抜歯が必要な症例では、ワイヤー矯正で抜歯した空隙をある程度閉鎖した後にマウスピース型矯正装置に移行することがあります。これによりワイヤーを使用する期間を短縮できます。また、ワイヤーを併用することで、マウスピース型矯正治療のみの場合と比べ、治療期間をかなり短くできることがありますが、治療費は高額になる可能性があります。また結婚や卒業などのために治療途中にワイヤーを外したい希望がある患者さんで、それ以降の治療をマウスピース型矯正装置に移行する場合もあります。
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石渡靖夫 高橋一誠神奈川県歯科医師会・海老名市歯科医師会会員
いしわた矯正歯科