学校の歯科健診、結果を受けての対応について

執筆者
神奈川県歯科医師会会員・横浜市歯科医師会会員 伊東 聡

こちらの内容は、
FMヨコハマ「Lovely Day」、「ラブリー♡オーラルケア~歯っとする話~」
2024年5月8日(水)10:00-10:15に放送された内容を記事としてまとめたものとなります。
皆様のご参考になれば幸いです。

 

Q.学校の歯科健診で、全く問題がないというケースは、少ないですか?

A. むし歯も初期では痛みが出ませんし、検診内容も多岐に渡りますので、もちろん全く何もない方もいらっしゃいますが、何かしらの検診項目にチェックがつくことはあります。

  

Q.「歯科健診」の検査結果はどのように表されますか? 

A. 歯の判定は、6項目に渡ります。

1 虫歯はローマ字のC(Cariesの頭文字)で表現
2 初期虫歯の疑いのある歯(要観察歯)をローマ字のCO(Caries Observation)と標記
3 治療した歯を〇と記載
4 生え変わりや、治療で抜けた歯を喪失歯といい、△と記載
5 グラグラで、永久歯の生え変わりに影響があるような歯を要注意乳歯といい×と記載

C、C0、×に関しては、歯科医院への受診が推奨されています
*ご家庭に持ち帰る結果の書き方は学校によって差があります。

  

Q.「歯肉」「歯垢」の状態についての審査結果は?

A. 歯肉の状態、歯垢の状態共に0、1、2の3段階で評価します。

歯肉の状態については
0: 赤み、腫れ、出血などの炎症がない健康な状態
1: 軽度の赤みや腫れ、出血がある場合
2: 相当の炎症がある場合
  *2に対しては歯科医院への受診が推奨されています

歯垢については
0: ほとんど歯垢が付いていない場合
1: 歯面の3分の1以下に歯垢が見られる場合
2: 歯面の3分の2以上に歯垢が見られる場合

 

Q.「歯並び」「かみ合わせ」 あと、「顎関節の状態」というのは、どのようなものですか?

A. こちらも0、1、2の三段階評価となり、異常なしを0、定期的な観察を必要とする場合を1、
 より専門的な審査が必要な場合を2と評価し、2に対して、受診を促すようにしております。

  

Q.「学校の歯科健診」、結果が出たら、どう対応したらいいですか?

A. 受診の紙をもらったら、できるだけ早めに歯医者さんに予約の電話をするのがいいと思います。

 

Q.特に、気をつけた方がいい診断結果はありますか?

A. 学校歯科検診で評価される検診結果は、診断結果では無く、診査結果となります。

あまり知られていませんが、診査と診断には明確な違いがあります。学校歯科検診では、問題がありそうか無さそうかだけをチェックするスクリーニング検査と呼ばれる方法で行われます。制限のある環境下でお口の中を拝見することになるので、疑わしいものにチェックをかける「診査」が行われます。一方で診断を行うには、歯科診療所などで、明るいライト、拡大ルーペ、レントゲンや特別な機械による検査が必須となります。そのような理由で、学校から「むし歯の疑いがあるという検診結果をもらって、歯科医院を受診したところ歯医者さんではむし歯が見つからなかった」としても、あまり気にしないでいただきたいと思います。

特に問題のない審査結果であっても、歯医者さんできちんとした検査・診断を行うことは、早期発見・早期治療という観点からも、お子さんにとってメリットがある事だと考えています。

FMヨコハマ

左:高橋滋樹先生(神奈川県歯科医師会 常務理事)
中:伊東聡先生(神奈川県歯科医師会広報委員会 副委員長)

 

「ラブリー♡オーラルケア~歯っとする話~」
『学校の歯科検診の結果を受けての対応』についてのお話
執筆者情報
伊東 聡
神奈川県歯科医師会会員・横浜市歯科医師会会員
いとう歯科クリニック

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