Q 「しっかりした入れ歯は保険の対象外。○○円ぐらい出してもらえれば、良いのをつくりますが……」と言われましたが、そうなのでしょうか?

A

現行の歯科の保健や医療制度には数多くの問題点が残されています。

健康診断の制度にしても三歳児健診のあとは入学前の就学児健診までは空白期、老人保健法でも歯科健診はいまだに取り入れられていません。長生きしても毎日の食事がおいしく食べられなかったり、家族や友人との楽しい語らいができなかったりするならばその喜ぴも半減するというのに、健康保険制度における義歯の評価が諸外国に比較して低く、これは政府も認めて老人保健法施行時には改善のための付帯決議をつけているにも拘わらず、十分な手だてがなされておりません。”「良くかめる義歯が欲しい」という期待にも、いまだに応えられない状態にあります。

歯が抜けたままで放置すると、噛む力の低下、顎関節の障害、発音が悪くなる、顔つきがかわるなどの弊害がでてきます。そういったことで現場の歯科医は来院する患者さまにはできるだけのことをしたいと日夜努力しています。信頼できる歯科医を日ごろからつくっておいて相談されることをおすすめします。

たしかに義歯の場合、最終的な製作物の材質はもちろんのこと、製作過程における材料や手間によって完成品のすべての条件が変わってきます。少し話は違うかも知れませんが、洋服にも吊るしものから何回も仮縫いしてつくりあげるオーダーメイドというようなものがあり、布地によって技術料にもランクがつく現実は周知の通りでしょう。

しかしながら、ただ高ければ良いというものではありません。安い義歯もあるのです。それにどんなに高価な義歯といえども「代用品」に過ぎません。いかに、良好な条件のあごに装着した義歯といえども自分の歯にかなうものではなく、日ごろの健康管理が強く望まれるゆえんのものとなっています。

                   
歯科診療について:入れ歯事情