歯のまめ知識歯が痛い!/診療の前に

小児歯科治療

赤ちゃんの口の中にはムシバ菌はいません。この細菌はもともと人間の口の中にいるものではないのです。では一体ムシバ菌(ミュータンス菌)はいつ口の中に入ってくるのでしょうか?

生後19ヶ月(1歳7ヶ月)までの子供の口の中にはミュータンス菌がほとんど見られないのに、その後少しずつ感染する子供たちが増えていって、31ヶ月(2歳7ヶ月)以降になるとあまり増えていきません。つまり、この生後19ヶ月から31ヶ月までのわずか1年の間、母子感染を防げば、子供を虫歯の危険からかなりの確率で守れるということになります。ただ、ミュータンス菌に感染する=虫歯になる、ということではありません。口の中でミュータンス菌の数が多くなってきて、さらにそこに砂糖が入ってきて、はじめて虫歯になっていくのです。とくに出産前の方は、これから生まれてくる子供のために自分の歯に関心を持ち、常にお口の中を清潔に保つことが大切です。もちろんお父さんやおじいちゃん、おばあちゃんも例外ではありません。

歯の運命は生え始めの時期に決定されるといっても過言ではありません。生え始めの時期に唾液中のミュータンス菌が多ければ、その子供は虫歯になりやすく、よい細菌が多ければ虫歯になりにくいからです。歯は生え始めた時に真っ先に歯に付着するのは「ムチン」(酸性唾液糖タンパク)というものです。そしてこのムチンによって覆われた歯の表面の膜は「ペリクル」と呼ばれています。この「ペリクル」に虫歯を引き起こさない善玉の常在菌の代表・サングイス菌やミティス菌などが付着すれば、健全な歯垢が形成され、ミュータンス菌が入ってきても排除され歯の表面は守られます。子供にとって砂糖たっぷり入った甘いお菓子はとても魅力的です。でも、ペリクルによい菌を植え付けることが出来た後なら、甘いお菓子を食べても虫歯になりにくいのです。おやつには砂糖が少なく、口の中にとどまる時間が少ないものがおすすめです。例えば、果物や野菜を使ったデザート、ジュースよりお茶や牛乳がよいでしょう。少なくとも、永久歯が生え揃い免疫機能が完成する12歳まではお菓子をはじめとする砂糖の量をコントロールする必要があります。

歯と口の働き

ひとは、食べ物を摂取しなければ生命を維持することはできません。すなわち、生体は代謝や成長に必要な栄養を食べ物として外界から常に補給しています。
その食べ物の取り入れ口が、口であり、歯によって食べ物を噛みくだき、消化吸収を助けています。また、味覚を刺激して食べ物を味わったり、食物中の異物や有害物を発見し、体内に入らないように保護するなどの働きがあります。
この時の運動(咀嚼運動)は、歯や歯の周りの組織(歯周組織)、さらに顔やあごの骨の正常な発育を助け、脳への適度な刺激を与えてくれます。
これは情緒の安定とも密接な関係があると考えられています。また、話す言葉(発音)や顔かたち(審美性)の上でも重要な役割を果たしています。
このように、生きる上で極めて大切な口の働きが、むし歯などの何らかの原因で多かれ少なかれ傷害された場合には、これによって生じる肉体的、精神的負担は決して軽いものではなく、歯と口の持つ意義は極めて高いものといえましょう。
歯と口には様々な働きがありますが、特に小児においては、乳歯と永久歯という2種類の歯が口の中やあごの骨の中に混在しながら発育していくことに注意しなければなりません。健康な歯と口はかけがえのない大切なものです。

ひとには乳歯と永久歯という2種類の歯があります。乳歯はやがて、永久歯に生え替わる運命をもっていますが、それまでの間、咀嚼、発音、発育などに大変大切な働きをしています。
乳歯の健康に気を配ることは、そのような乳歯本来の働きを守るというだけでなく、やがて生えてくる永久歯のためにも必要なことです。特に、4・5歳児においては、生涯で最も重要な働きを持つ第一大臼歯が乳歯の奥歯の後ろに生えてきますので、第一大臼歯をむし歯にしないためにも、乳歯のむし歯を軽く考えないことです。
ちなみに、乳歯の形成は妊娠2から3ヶ月という早い時期から始まっています。従って、妊娠中の母体の健康や栄養状態が乳歯の形成にとって非常に大切なことが分かるでしょう。
以下に、乳歯の役割と、6才臼歯(第一大臼歯)の事について少し述べます。

乳歯の役割

  1. 咀嚼と消化:食べ物を良くかみ、咀嚼し、唾液と混ぜるという消化の第一段階を司る。
  2. 顎顔面の成長:正しい歯の働きを通して健全な顔やあごの発育を助ける。
  3. 発音:正しい発音機能の発達に関係する。
  4. 永久歯萌出場所の確保:乳歯がその寿命を全うすることにより、次に生えてくる後続永久歯の萌出場所を確保している。

6才臼歯(第一大臼歯)の萌出とその重要性

4〜6才頃に生えてくる永久歯は、第一大臼歯という大きな歯で、別名、6才臼歯とも言われています。乳歯の奥に生えてくるので、永久歯であることに気がつかないことが多く、乳歯のむし歯は「どうせ生え替わるから良い」と考えていると、いつの間にかむし歯になってしまいます。そのため、永久歯の中で最も大切であるのにかかわらず、一番寿命の短い歯であると言われています。

  1. 通常、最初に生える永久歯であること。
  2. かみ合わせの中心で、ものを噛む力が強いこと。
  3. むし歯になりやすいこと。(萌出後2年間に半数以上がむし歯になるといわれています。)

乳歯むし歯の特徴

  1. 進行が早い
  2. 一度に多発する
  3. 自覚症状が不明瞭

むし歯の害

  1. 子供の発育に大きな影響を与えます。
    1. 好き嫌いが激しくなり、十分に噛むことができなくなり、栄養の吸収を悪くする。
    2. 大切な顎の発育に支障をきたす。
    3. 知能や情緒の発育に影響を与える。
    4. 発音が不明瞭になって気おくれする。
  2. 永久歯に悪い影響を与えます。
    1. 永久歯の表面がおかされて萌出することがある。
    2. 早くから抜けてしまった場合は、永久歯の歯並びに悪影響を及ぼす可能性もある。
  3. むし歯の細菌や毒素が体内に回り、歯とは直接関係のないような病気を引き起こすことがあります。

並び、おやつの問題、習癖の問題など複雑に絡み合ってなるむし歯、どうすれば防げるか?

毎日の生活の中でのプラークコントロールが最も重要な手段です。
プラークコントロールについては、それだけで多くの紙面を必要としますので、以後どなたかに記載していただけることを期待します。