神奈川県歯科医師会について一枚の絵

Vol.1303

「ある午後」 山本 加代会員

 夏も真近いある日の午後、憩いのひとときシャッターを切った、それは二十年近く前の事であったけれど、描かれた画像は昨日の事の様に、何時も私の記憶に甦えっている、ひょっとしたら、私の家族の一員になっているかもしれないその人は、ある時風の様に私共の前から去っていった。
 人と人との出逢いは、奇しくもあらゆる模索を重ねて、一つの結果にたどりつく、それは良くても悪くても全て過ぎさったものはもう戻らない、この絵は一九八三年全日本歯科医師会絵画展に掲載されたものである。あれから私も年を重ねこの思い出を静かに埋めるべく人を介して、あれ切りお逢いしていないその人に絵を送ったのである、その後赤い小箱に入ったバカラの小猫をその人は私に送って下さった。
 私は猫が好きだったから・・・・
 時々過ぎ去ったその日を思い出す度に、今も私は小猫に話しかけているのである。

(著 本人)