神奈川県歯科医師会について一枚の絵

Vol.1212

「旭昇」 佐藤 正会員

 六十年も昔、尋常小学校の本に、確か「一島いまだ去らざるに一島更に現れ、雲も水も、金色に輝きて、美しさ言うばかしなし」と御座いました。
 私は、瀬戸内海はそんなに美しい所かと太陽を見に行きました。
 早暁五時、厳冬の東京湾口で火傷するほどカイロを貼り、鯛釣りの支度中の僅か数分の日の出。その太陽の演出に、いつしか仲間達も拝むようになりました。その時「西風が吹いたよう!!」船頭の声。青空に金銀の波しぶき、隣の船を見せないほどの大波涛がドドーンと船底をたたきました。
 私と六名の釣友は防水着を寄せ合って港へ逃げ帰りました。
 「チクショウ!餌をおろしたとたん西が吹いた。」「誰かヘンに拝んだな。大きな鯛が釣れますようにって。」「俺じゃーない。」「ウヘェー寒い。お天道様には、絵がうまく描けますようにじゃないの。」「そうだ、熱燗と味噌汁、又日の出のオゴリときまった。わかったな!」ものごとご油断なく。日々御自愛下さいまして松樹千年のお年となさいますようお祈り申し上げます。

(著 本人)